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Column【Youtube連動コラム#2】シェアド・リーダーシップってなに?
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シェアド・リーダーシップってなに?
シェアド・リーダーシップとは、リーダーシップ(Leadership)をシェア(Share)=「共有する」というリーダーシップの考え方です。シェアド・リーダーシップは、リーダーシップの責任や役割を複数のメンバーが分担することを意味します。このアプローチは、メンバーのエンゲージメントやモチベーションを向上させ、職場の心理的安全性を高め、自由に意見を表明できる環境を作り出します。また、チーム全体のパフォーマンスや効率性を向上させ、迅速な意思決定と組織の変革を促進する役割も果たします。
このコラムは、株式会社IDEASS(イデアス)最上雄太監修するYoutubeチャンネル ライオン博士のリーダーシップアカデミー『シェアド・リーダーシップってなに?』と連動しています。このコラムの内容を5分でわかりやすく解説していますので、よろしければぜひご覧ください。
シェアド・リーダーシップが注目される理由
近年、シェアド・リーダーシップが注目される背景には、リーダーシップを捉える視点の変化があります。伝統的なリーダーシップ研究は、リーダーとフォロワーの垂直的な上下関係(タテの関係)に着目してきましたが、2000年代以降、この視点に対するアンチテーゼとして、チーム全体の対等な協力関係(ヨコの関係)に注目する研究が増えてきました。
タテの関係への偏向
タテの関係に着目するリーダーシップ研究には、特性理論(Trait Theory)、状況理論(Situational Theory)、カリスマ理論(Charismatic Leadership Theory)、変革型リーダーシップ(Transformational Leadership)などがあります。これらの研究は、リーダーとフォロワーの垂直的な上下関係を前提とし、リーダーがトップに位置し、フォロワーがその下に位置するという階層構造を重視します。この視点では、リーダーの強力な個性やビジョンがフォロワーを引きつけることが重要とされます。
カリスマ理論を例に取ると、カリスマ的なリーダーは強い個人的な魅力とビジョンを持ち、その魅力でフォロワーを引きつけます。フォロワーはリーダーに強く依存し、リーダーのビジョンに従います。これが「タテの関係」の典型的な例です。この視点は、リーダーとフォロワーの関係を明確にし、各メンバーの役割と責任をはっきりさせることで、組織の安定感を生み出します。
ヨコの関係への転換
しかし、2000年頃から、リーダーシップ研究の視点がタテの関係からヨコの関係へと転換しました。ヨコの関係に着目するアプローチでは、リーダーとフォロワー間の垂直的な関係ではなく、メンバー間の対等な協力関係が重視されます。この視点の変化により、シェアド・リーダーシップが注目されるようになったのです。
シェアド・リーダーシップの定義と効果
シェアド・リーダーシップの定義
リーダーシップを「ヨコの関係」で捉えるアプローチでは、リーダーとフォロワー間の垂直的な関係ではなく、メンバー間の対等な協力関係が重視されます。シェアド・リーダーシップの研究者であるワン(Wang)らは、シェアド・リーダーシップを次のように定義しています。
「チームメンバーが相互に影響し合い、責任を分かち合うことで、目標達成に向けて互いにリードし合うという、創発的なチームの特性」
出典:Wang, D., Waldman, D. A., & Zhang, Z. (2014). A meta‐analysis of shared leadership and team effectiveness. Journal of Applied Psychology, 99, 181–198.
メタ分析による発見
ワン(Wang)らは、シェアド・リーダーシップに関わる42本の研究論文を対象にメタ分析※を行い、シェアド・リーダーシップとその効果性の関係について検討しました。
※メタ分析(メタアナリシス)とは、複数の独立した研究の結果を統合し、全体としての結論を導き出すための統計的手法
その結果、シェアド・リーダーシップは、チームメンバーの目標に向けての理解、やる気、一体感を高め、メンバーが主体的に考えて自律的に行動する創発的な状態に強く関連することが分かりました。特に、メンバーの仕事が複雑であるほど、その効果は強くなる傾向があると述べています。
サッカーチームにおけるシェアド・リーダーシップ
練習場面でのシェアド・リーダーシップ
シェアド・リーダーシップの概念をサッカーチームに当てはめてみましょう。練習場面において、「タテの関係」が顕著な場合、コーチがすべての指示を出し、選手はそれに従います。一方、シェアド・リーダーシップがみられるチームでは、各選手が自分の経験やスキルを共有し、互いにリードし合います。例えば、ミッドフィールダーが新しいパス戦術を提案し、ディフェンダーが守備の戦術を改良するアイデアを出すことがあります。選手たちは積極的に意見を交換し、練習メニューの改善に取り組みます。
試合場面でのシェアド・リーダーシップ
試合場面を想定しても同様です。「タテの関係」が顕著な場合、コーチの指示が絶対であり、選手たちはその指示に従うのみです。一方、シェアド・リーダーシップがみられるチームでは、キャプテンだけでなく、他の選手も積極的に指示を出し合います。選手たちは自律的に状況判断を行い、即座に対応します。これにより、試合中の柔軟な対応が可能となり、目まぐるしく展開が変わる状況においても高いパフォーマンスを発揮することが期待できます。
シェアド・リーダーシップの3つの重要ワード
責任を分かち合う
シェアド・リーダーシップでは、リーダーシップの役割が特定の個人に限定されず、チームメンバー全員がリーダーシップを発揮する機会を分かち合います。このため、メンバー間での意見交換や意思決定が活発に行われ、相互に影響を与え合うことで、より良い結果を導き出すような人間関係が構築されます。
互いにリードしあう
リーダーシップの役割が特定の人物に集中しないため、各メンバーが自分の役割と責任を理解し、主体的に行動することが求められます。これにより、リーダーの負担が分散され、メンバー一人ひとりがチームの成功に貢献する意識が高まると言えるでしょう。
創発的なチーム
シェアド・リーダーシップが生じるチームでは、メンバー間の協働が創発的に行われます。チームメンバーが互いにリードし合い、新しいアイデアやアプローチを持ち寄ることで、予測不可能なイノベーションや解決策が生まれます。この創発的な協働は、固定化された「タテの関係」を重視したリーダーシップスタイルでは得られない柔軟性と創造性をもたらします。
シェアド・リーダーシップの実践方法
日常業務におけるシェアド・リーダーシップの取り入れ方
シェアド・リーダーシップを日常業務に取り入れるためには、まずはチームメンバー全員がリーダーシップを発揮できる環境を整えることが重要です。例えば、定期的なミーティングでメンバーが自由に意見を出し合い、それを基に意思決定を行うプロセスを導入することが考えられます。また、プロジェクトごとにリーダーを選出するのではなく、メンバー全員がリーダーシップを発揮できるような役割分担を工夫することも効果的です。
フィードバックの重要性
シェアド・リーダーシップを実践する上で重要なのは、フィードバックの文化を醸成することです。メンバー間でのフィードバックを促進し、相互に成長を支援する環境を作ることが求められます。定期的なフィードバックセッションや、匿名で意見を出せる仕組みを導入することで、メンバーが安心して意見を交換し合えるようになります。
リーダーシップ研修の実施
シェアド・リーダーシップを効果的に導入するためには、リーダーシップ研修の実施も有効です。全メンバーがリーダーシップについての理解を深め、自分自身のリーダーシップスタイルを見つける機会を提供することが重要です。このような研修を通じて、メンバー全員がリーダーシップを共有し、発揮できるようになることで、シェアド・リーダーシップの効果が最大限に引き出されます。
まとめ
シェアド・リーダーシップとは、リーダーシップの責任や役割を複数のメンバーが分担するという考え方です。このアプローチは、メンバーのエンゲージメントやモチベーションを向上させ、職場の心理的安全性を高め、チーム全体のパフォーマンスや効率性を向上させます。また、シェアド・リーダーシップは、リーダーシップを「タテの関係」から「ヨコの関係」へと捉える視点の変化から生まれました。これにより、チームメンバーが相互に影響し合い、責任を分かち合い、創発的に協働する環境が構築されます。今後のリーダーシップスタイルとして、シェアド・リーダーシップはますます重要性を増していくでしょう。
シェアド・リーダーシップを導入することで、組織全体のパフォーマンス向上や、メンバーのモチベーションアップが期待できます。これからのリーダーシップスタイルを考える際に、ぜひシェアド・リーダーシップの概念を取り入れてみてください。
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