〜抽象画で有名なピカソの逸話〜
ピカソが、ある男に尋ねられた。 「あなたはなぜ、人間をありのままの姿で描かないのですか?」
男の問いに、ピカソはけげんな表情で答えた。「おっしゃる意味がよくわかりませんが」
すると、男は自分の妻の写真を取り出し、それをピカソに見せながら言った。 「ほら、こういうことですよ。これが私の妻のありのままの姿です」
 


私たちは、自分の周りにある世界を五感で感じ取ります。そして、感じ取った情報を「知覚のフィルター」によってろ過し、独自の「意味」を創り上げていきます。この独自の意味を「自分の世界モデル」と呼びます。

人は誰でも、他者とは異なる「自分の世界モデル」を持っており、それを基にした自分だけのオリジナル映画を観るように、目の前に広がる世界を捉え、「それこそがありのままの現実だ!」と考えています。

以下の図をよくご覧ください。
人は誰でも自分の世界モデルを持っている

人は誰でも自分の世界モデルを持っている


この会議の参加者は「建物」について話をしています。しかし、1つの内容について話をしていても、実はそれぞれの頭の中に描かれているイメージはバラバラです。

では、前述のピカソの逸話においては、ピカソと質問した男のどちらが、ありのままの現実を見ているのでしょうか?実は2人にとっては、それぞれがありのままの現実なのです。同じ対象を捉えているのに、それぞれが描き出すイメージが異なるのは、個々人の知覚のフィルターが異なるからです。

知覚のフィルターは、経験や文化、言語、信念や価値観、興味・関心、思い込みなどによって千差万別であり、人それぞれ独自のろ過装置を持っています。ろ過するプロセスもまたさまざまです。

ある1つの情報を取り上げ、それ以外を破棄してしまったり(削除のフィルター)、AとBという異なる事実をひと括りのものとして考えてしまったり(一般化のフィルター)、1つの事実を自分なりの味付けによって都合の良い内容に変えてしまったり(歪曲のフィルター)──こうした多種多彩なプロセスがあります。

また、このフィルターは何層も重なり合っており、それによって1つの事実がろ過されることで、最終的にその人独自の「意味」が抽出されます。そして、自分がいま信じている真実、そうだと思っている事実であるその抽出物に、自分がふさわしいと思う言葉をつける(意味付ける)のです。

次回は、さらに私たちの知覚『モノの捉え方』の不思議について脳科学の話などを交えてお話していきます。

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<ポイント>
セルフコンセプトのポイント(20)知覚のフィルターは、その人独自の意味と言葉を作りあげる

本記事は、最上雄太著 『セルフコンセプト』(2012)の内容を当コラム向けに新たに加筆・修正を行っています。当記事および最上雄太著 『セルフコンセプト』(2012)の無断複写(コピー)は著作権での例外を除き禁じられています

 


 

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