『マネジメント』の著者であるP.F.ドラッカーは、普段のマネジメントについて真摯にふるまうために、まず「人を育てよ」と言っています。「マネージャーたる者、人を育てることを考え、人を育てるための行動をしなさい、それがマネジメントに求められるふるまいだ」と示唆しています。ドラッカーの言っていることは十分に納得・共感できるものだと思われます。しかし、一方では、いざ現実の自分のふるまいに落とし込もうと思った時、なかなか「うまくいかない」ということが起こります。

このように、本を読めばわかるような「あたり前のこと」が実際には「うまくいかない」のは、なぜでしょうか?

「うまくいかない」理由はきわめて単純です。そのふるまい(Output)を作り出すために必要となる『モノの捉えかた』(Input)が不足している、あるいは、そのふるまい(Output)を拒んでしまうような目に見えない、自分ではほとんど意識できない『モノの捉えかた』(Input)が存在しているからである、と私は考えます。

私たち人間の思考と行動(ふるまい)は、自分が持っている『モノの捉えかた』に大きな影響を受けています。思考と行動(ふるまい)は、自らのふるまいとして表出されるもの、つまりOutputです。そして、Inputに当たるものが、自分自身の感情や認識により作り出されている『モノの捉えかた』です。このような理由から、「あたり前のこと」を知識として知っていても、『モノの捉えかた』の潜在的な影響によって、実際には「うまくいかない」のです。

ところで、理解するという言葉は、その字が示す通り「理(ことわり)が解る」という意味です。「理が解る」とは、物事の本質的な意味合いを充分に咀嚼した上で、自分の感覚を伴いながら体得することです。したがって、どれほど有効なスキルを学んでも(=知識として知っていても)、『モノの捉えかた』(Input)が革新できていなければ(本質的に体得されていなければ)、マネジメントの望ましいふるまい(Output)や成果にはつながらないのです。


私たちの思考と行動(ふるまい)は、自分自身の『モノの捉えかた』の影響を避けることはできません。

以下のような状況に悩んでいるビジネスパーソンの方は多いのではないでしょうか?

本をたくさん読んだり、研修を受けたりして、マネジメントの何たるかを「理解した」と思っても、実際はなかなか自分に定着せず、長続きしない。思うような効果が出ないので、さらに幅広く情報を集め、さまざまなセミナーに参加するものの、結果的に「いろいろな手法を学んだけれど、自分の考えていたようなマネジメントができない」と感じてしまう・・・このような人は、出口の見えない迷路にはまり込んでしまっている可能性があります。その結果として最も望ましくないのは、結果が出ないことによって、自分や他者の成長の可能性を信じなくなってしまうことです。

このように、単に知識として知っていることと、自らの日常的なふるまいに落とし込めるレベルに理解していることの間には、大きな隔たりがあります。

『モノの捉え方』を変えることで、マネジメントのふるまいを変える

『モノの捉え方』を変えることで、マネジメントのふるまいを変える

 

しかし、『モノの捉えかた』は、そう簡単に変わらないのでは?と疑問を持たれる方もいるでしょう。

『書経』の中に「習(なら)い性(せい)となる」という言葉があります。ある学習・行動を習慣化させることで、それは先天的に持ち合わせた性質や気質のようになる、という意味です。

もちろん、私たちの『モノの捉えかた』は、そう簡単には変わりません。しかし、五感を鋭敏にする感覚的なトレーニングとその習慣化によって、私たちの『モノの捉えかた』は変えて行くことができます。なぜなら、そもそも私たちの『モノの捉えかた』は、生まれ持って備わったものではなく、後天的に獲得された(学習された)ものであるからです。つまり、感覚的な再学習を行い、それを定着させることで、人の『モノの捉えかた』は変えて行くことが必ずできます。

当コラム【第2回】で、セルフコンセプトを実践し、自分のふるまいとして定着させていくために最も大切なポイントとなるのは、これらを習慣化するまで続けることだとお伝えいたしました。セルフコンセプトを継続していくことによって、かつては、知識としては知っていたが実際には「うまくいかない」ことが、『モノの捉えかた』のバージョンアップによって、次第にうまく行くようになり、やがては、「あたり前のこと」として肉体化するようになっていきます。その時、マネジメントのふるまいはすでに変わっています

次回は、日々の業務において問題解決をしていくために、便利なツールを探すことも大事だが、問題解決に求められる感性を磨くことがより大切だ、ということについてお話したいと思います。

 

<ポイント>
セルフコンセプトのポイント(10)感覚的な再学習を行い、それを定着させることで、人の『モノの捉えかた』は変えることができる
セルフコンセプトのポイント(11)セルフコンセプトを習慣化させることで、マネジメントのふるまいは、結果的に変化する

本記事は、最上雄太著 『セルフコンセプト』(2012)の内容を当コラム向けに新たに加筆・修正を行っています。当記事および最上雄太著 『セルフコンセプト』(2012)の無断複写(コピー)は著作権での例外を除き禁じられています

 


 

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