リーダーシップの源泉|EQリーダーシップアプローチの提言セルフコンセプト

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EQリーダーシップアプローチの提言 ~リーダーシップの源泉をめぐって~

本章の結論

以上のことから、リーダーシップとは、自己認識を源泉とした信頼関係構築プロセスの成果物であるという結論が引き出される。

かつての特性論アプローチは、リーダーのもつ生来の特性に注目していた。しかし、生来リーダーが持つ特性の役割は、小さく、効果があることはわかるが、それだけで有効性を判断することができないという欠点を抱えていた。

EQリーダーシップ(感情コンピテンス)アプローチは、高業績を残す人材の特性(コンピテンス)という理論背景を持っており、特性論アプローチの発展型と位置づけることができる。そして、感情コンピテンスは、学習により開発と能力向上が可能な知能である。生来というよりはむしろ、経験と学習により醸成される能力という点で特性論のアプローチとは大別される。

また、モチベーションと共感力という2つの軸を包含してはいるものの、行動アプローチとはアプローチのしかたは異なっている。しかし状況に適合させるといいう点では、コンティンジェンシーアプローチに近い視点を持っている。
EQリーダーシップ(感情コンピテンス)アプローチは、状況を感じ取る能力について根拠を提示するだけでなく、正確な判断や思考を行うための感情の調整という視点があり、したがって適切なリーダー行動をおこなうための方法論を明らかにしている。このようにみてくると過去のアプローチとくらべ優位性をもっている。

しかしながら、リーダーシップの有効性の指標となるリーダーとフォロアーの相互信頼感の醸成度合いを客観的に測定することができないとか、コンピテンスの発揮度合いを正確に把握することができない、などといった客観的な数値根拠を提示できないという点において、問題点をかかえている。

本章における結論は、「リーダーを養うためには自己認識を促進させるべし」という筆者の金科玉条を紡ぎ出すことになった。これは、自己認識に効果的に作用するようなプログラムを開発することが、結果的にリーダーを創り出す源泉となるという「理論的根拠」を得たことになる。いま現在、筆者は、リーダーおよびマネジャーを対象とした研修プログラムを開発し提供している。それらのポジティブな実践的フィードバックによって、本章はさらに信憑性を高めている。近い将来、本章で主張しているEQリーダーシップ(感情コンピテンス)アプローチの有効性について論じることになるだろう。

参考文献

  • 金井壽宏(2004)『組織行動の考え方』東洋経済新聞社
  • R.R. Blake and J.S Mouton (1965)『期待される管理者像』上野一郎監訳 産業能率短期大学出版部
  • Stodgil Ralph M.(1974) Handbook of Leadership: A survey of the Theory and Research,New York: Free Press
  • ウォーレン・ベニス、バートナナス、小島直記訳 (1987)『リーダーシップの王道』新潮社
  • ジョンP.コッター、黒田由紀子監訳 (1999) 『リーダーシップ論』 ダイヤモンド社
  • ジョン・W・ガードナー (1989) On Leadership.Free Pr.加藤幹雄訳 (1993) 『リーダーシップの本質』 ダイヤモンド社
  • ダニエル・ゴールマン他 土屋京子訳(2002)『EQリーダーシップ』日本経済新聞社
  • ダニエル・ゴールマン 梅津祐良訳(2000) 『ビジネスEQ』東洋経済新聞社
  • ダニエル・ゴールマン What Makes a Leader? 『EQが好業績リーダーをつくる』HBR 1998年11-12号
  • ライルM.スペンサー、シグネM.スペンサー 梅津祐良他訳 (2001) 『コンピテンシーマネジメントの展開』 生産性出版