リーダー著者:ハワード・ガードナー(2005)講談社


MI理論(マルチプルインテリジェンス理論)を提唱した同氏が最近発表したリーダーシップの実践書です。

「認知心理学」の観点からひとのこころに働きかける具体的な方法論を提示しています。


この本の興味深いところは、

こころの変化を導くためのトリガー(文中では”心の変化テコ”と表現)を提示しているところです。

そのトリガーとは以下の7つですが、経験的に理解できるものばかりです。

人を説得する、心を変えるためには、さまざまな条件が整わなければ難しいということがわかります。



①理性

②リサーチ

③共鳴

④表示の再叙述(くりかえし・言い換え)

⑤リソースと報酬

⑥現実世界のできごと

⑦抵抗



つい言葉だけで説得をこころみようとしてしまいますが、「うまくいかない理由」「人がついてきてくれない理由」の原因は

・上記のようなテコが整っていない

・そもそもテコの意識が薄い

ことに起因しているのではないかということがわかります。



また、重要なのは、人の心を変える(導く・説得する)ということについて「絶対法則」は存在せず、

簡単に言えば、いわば神に定められた「その人が変わるタイミング」というものが存在し、

それをを尊重しなければならないということを感じずにはいられない。

人の心を変えることと、強制は異なることをしっかりと意識していかなければならないと思いました。



以下”心の変化テコ”を簡単にその内容をまとめてみます。



①理性

知性を発揮するためには理性が不可欠であるということ

②リサーチ

心の変化を保証するため、関連ケースのデータ収集が必要であるということ

③共鳴

共鳴は情動(強い感情)に作用し関係性を深め、同時に「信頼」「尊敬」を生み出す

④表示の再叙述(くりかえし・言い換え)

さまざまな手段(言語・数値・図形)をつかって、繰り返し表示することにより説得力が増す

⑤リソースと報酬

資源的な要因(リソース)が整っていれば心の変化が起こりやすい

⑥現実世界のできごと

環境的な要因が心の変化に影響を与える

⑦抵抗

こころの変化を妨げる要因。心の変化に抵抗する強力な見方や観点(変化リスク)



つまり、全体としては

「①理性」「②リサーチ」は人間の心の認識面に訴求します。

しかし、知性だけでは人に訴えることはできず、「③共鳴」を呼びよこすようアプローチが必要であるということです。

テクニックとしては、「④表示の再叙述」を行ってさまざまな方法で具体的に、繰り返しわかるように説得を行う必要があり、

変わるために必要な条件つまり「⑤リソースと報酬」を整備する必要があるということです。

しかし、人が変わるためには「⑥現実世界のできごと」が大きく影響をおよぼし、

最終的にはその人が変わるための「⑦心の抵抗」の度合いが鍵となるということです。



心の変化に成功した人、しなかった人の例をひとつひとつ見ていくと、このさまざまな要素が独自の姿で働いているといいます。

最初の6つ⑦、調和して働き、抵抗(⑦)が弱いときに心は変化しやすいと指摘しています。

そして、抵抗(⑦)が強く、他の6要素(①~⑥)がそろって一つの方向を向かないと心は変化しにくいということです。



この本もお勧めの1冊です。

是非お試しください。