

リーダーシップとは何か、リーダーシップを考える上で重要なこと、について、最上雄太の視点から解説いたします。
リーダーシップ(4)にて、リーダーシップは、目に見えない影響力であること、部下(フォロアー)が必要、共通の目標が必要、といった特徴を整理してきました。
では、どんなリーダーシップが望ましいのでしょうか?
私は「成果をあげる人間のタイプ」などというものは存在しないことにかなり早く気づいた。・・・外向的な人もいれば、超然とした内向的な人、なかには病的な恥ずかしがり屋もいた。過激な人も痛ましいまでに順応的な人もいた。心配性な人も気楽な人もいた。・・・魅力的な人も、冷凍した鯖のように冷たい人もいた。通俗的な「リーダー像」どおりの目立つ人達もいた。・・・論理や分析力を使う人もいれば、知覚や直感に頼る人もいた。簡単に意思決定を行う人もいれば、行動のたびに迷う人もいた。
P.F.ドラッカー 上田 惇生訳(1995)『経営者の条件』
上記は経営学の泰斗であるドラッカーが、成果を挙げるリーダについて述べている言葉です。
書店のビジネス書の棚には、リーダーとはこうあるべきとか、リーダーになるならこれをやりなさい、といった表題の本が並んでいます。どの本を見ても、なるほどと納得させられるようなことが書いてありますが、それらに書いてあることは、その書いているリーダーが成功したパターンやスタイルであり、万人に通用するものではありません。強引さで知られる、アップルCEOのスティーブ・ジョブスのスタイルをそのまま真似すれば、付いて来る人はほとんどいないかもしれません。スティーブ・ジョブスだからこそできるリーダーシップのスタイルがあるからです。
リーダーシップは、自分らしさを反映したものである必要があります。誰かの物まねではなく、自分の強みや自分だからこそできる私らしいリーダーシップスタイルを知ることが必要なのです。そのために、自分らしさとは何か、自分の強みや弱みは何かといった、私の現実の足元を知っておくことがとても重要なことなのです。
リーダーシップ研究者のJ・クーセズとB・ポスナーは、『リーダーシップとは、リーダーが後ろを振り返ったとき、フォロアーが喜んでついてくる』という点にリーダーシップの本質を捉えました。これはリーダーシップとは何かを理解する上でとてもわかりやすい基準であり、指標となる言葉です。
つまり、「フォロアーが喜んでついてきてくれる」かという基準を満たすものであれば、リーダーシップは、先に書いたとおり「私らしいリーダシップスタイル」が望ましいということになります。先のスティーブ・ジョブスは、従業員の誰もが恐れるような怖い側面がありましたが、スティーブ・ジョブスと一緒に仕事すれば、自分の好奇心や想像力を生かすことができると考える社員が、まさに「喜んでついてきていた」といいます。
「フォロアーが喜んでついてくる」かという基準は、自分のリーダーシップを考える上で色々な示唆を与えてくれます。リーダーシップを発揮するということは、ただ前に進めばよいということではないということ、常にフォロアーの顔やいまの状態を知っておく必要があるということ、自分がどのような行動をするかが重要なことではなく、フォロアーがリーダーたる自分をどのように意味づけるかが重要であるか、などといったことです。
リーダーシップは影響力である。リーダーシップの基準は、「フォロアーが喜んでついてくること」など、ここまでをまとめて考えると、リーダーシップはリーダー自身に帰属するものではなく、フォロアーの認識上にあるものであることがわかってきます。言い換えれば、リーダーシップがあるかないかを決定するのは、フォロアーの認識次第なのです。これはリーダーシップを考える上でとても大切な視点です。
リーダーは、フォロアーの認識と感情に働きかける必要があります。そのために、いまフォロアーがどのような認識をしているか、どのような気持ちでいるか、といったいまの状況をリーダーとして正しく理解する必要があります。リーダーは、人の認識と感情にとても敏感である必要があるのです。そして、他者の認識と感情を理解するために、まず自分のいまの状況・状態を冷静にモニタリングできる能力も必要になります。そして、リーダーは、部下とのコミュニケーションを避けることはできません。つまり、リーダーは一流のコミュニケーターである必要もあるのです。