

リーダーシップとは何か、リーダーシップを考える上で重要なこと、について、最上雄太の視点から解説いたします。

「リーダーシップを一言で表現することはできますか?」
このような質問を、企業研修やセミナーの冒頭で行うと、非常にさまざまな答えが返って来ます。
「リーダーシップとは、行動力です!」
「リーダーシップとは、人をひっぱることです!」
「リーダーシップとは、輝いていることです!」
「リーダーシップとは、決断する勇気です!」
どの答えも間違ってはいませんが、これだという唯一の答えはなかなかみつからないものです。
愛と同じように、リーダーシップは、誰もがその存在を知りながらうまく定義できないものである。
ウォーレンベニス他 小島直記訳(1987)『リーダーシップの王道』
上記は、リーダーシップ研究の世界的権威である、ウォーレンベニスが著書で語った言葉です。実際リーダーシップほど、古代から研究され、議論されてきた経営学の分野はないといわれています。しかしながら、研究者によってその定義が異なり、また定説といわれるような定義もほとんど存在しません。なぜそうなるのでしょうか?
これは、リーダーシップの関心(研究者でいうと研究対象)が「人間」だからだと考えています。リーダーシップは、まさに人間のふるまいや考え方、存在感であり、人間そのものの奥の深い神秘性や、不確実な側面が、その理解と定義を難しくしているのではないでしょうか?
リーダーシップはどんな性質のものであるか、特徴的な3点をまとめてみたいと思います。
第一に、リーダーシップは目に見えない影響力である。という点です。
リーダーシップの存在、つまり、リーダーシップがあるのか、ないのか、は言うまでもなく誰もが「ある」と認めるところだと思いますが、先のウォーレンベニスの主張どおり、リーダーシップは愛と同じようにその存在はわかっていても、直接目で見ることはできません。「リーダーシップがそれは他者に与える影響力である」という特徴があるからです。目に見えない、手に触れることができない、他者からもらったり与えたりすることが容易にできない影響力がリーダーシップの正体なのです。
第2に、リーダーシップを発揮するためには、発揮する対象として部下が必要になります。
「リーダーシップが他者に与える影響力である」という第一の特徴を考えれば、納得できることだと思います。リーダーシップを研究する世界では部下のことを通常、フォロアー(Follower:ついてくる人)と呼んでいます。リーダーは後ろについてきてくれる人がいてこそ、リーダーなのです。これは当たり前のことですが、リーダーシップを考える上で、自分についてきてくれる人達(フォロアー)のことを考えることがとても重要なことであることにあらためて気づかされる事実です。
第3に、リーダーシップを発揮するためには、リーダーとフォロアーの間に共通の目標がある、ということです。
共通の目標とは、営業予算だったり、獲得顧客数だったり、新製品の完成だったり、実にさまざまなことが考えられます。このような共通の目標が存在しない場面で、リーダーシップが発揮されている状況を考えられますか?たぶん難しいことだと思います。
リーダーシップは、ある目標に向かって部下と進んでいくために必要となる影響力です。リーダーシップに目標が必要であるという事実は、リーダーとして、まず明確な目標を持つ必要性があること、部下にその目標を共通の目標として納得させる必要があること、リーダーとして部下がついてくるような目標やビジョンを掲げる、作り出す必要があること、そして何よりもリーダーとしての自分自身がその目標に対してコミットしていることが重要であることがわかってきます。