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EQリーダーシップアプローチの提言 ~リーダーシップの源泉をめぐって~

1.リーダーシップ論のパラダイムシフト

リーダーシップ本質論の整理

リーダーシップの行動論アプローチの発展に伴う理論硬直化について批判を行った。そうなると、リーダーシップの本質とはなにか、というラジカルな疑問がわいてくる。そこで、その疑問に対する答えを探求すべく、リーダーシップ研究に偉大な功績を残した、ウォーレン・ベニス、ジョン.P.コッター、ジョン.W.ガードナーの3名の研究者の主張の軸を整理したい。

リーダーシップとは、組織を成功させる原動力である。活力と能力にあふれた組織をつくるには、組織のあるべきビジョンを開発し、それに向かって組織を変革させるリーダーシップが必要である※3 (ウォーレン・ベニス)。

ベニスによれば、新しいリーダーとは、人々を行動への誘い、そしてリーダーに育て上げ、彼らリーダーを変革の推進者とすることができる人であるという。また、他に「あらゆる場面においてねじを巻くことこそリーダーシップである」とも言い換えている。
ベニスの主張する変革力に優れたリーダーとは、組織を現在から未来へ向けて変え、組織をしかるべき未来像へと導くビジョンを構築し、従業員に力と意欲を吹き込み、組織に新しい文化と戦略を導くのである。そして、組織を成功させるためには、ビジョンづくりや変革のための推進力が必要であると主張しながらも、同時に従業員とのコミュニケーションや信頼の獲得の必要性を強調する。あわせて自分の素養を養うために、リーダー自身の自己鍛錬や学習の必要性に言及している。

リーダーシップとは、ビジョンと戦略を作り上げる、戦略の遂行に向けてそれに関わる人々を集結する、あるいは、ビジョンの実現を目指して人々に対してエンパワーメントを行うなど、障害を乗り越えてでも実現する力のこと※4 (ジョン.P.コッター)。

コッターはリーダーシップを「組織を動かす仕事」のありように大切な示唆を与えるテーマであるとしている。彼によれば、具体的にはまずリーダーの期待される役割には、変革を推進することであるという大前提が存在ある。そして、変革を推進し、発展的に組織変革の端緒を開くために、戦略とビジョンを作りあげることが大切であり、重要なのはそれらを実行するために、あらゆる手段を尽くす力量がリーダーシップそのものだという。
さらに、変革の障害となるのは、人間関係に起因するものがほとんどであり、ベニスと同様にリーダーには、対人関係のスキルや人間関係のマネジメントが重要であるとしている。

リーダーシップとは、個人あるいはリーダーチームが、リーダーやリーダーと部下が共有している目的を追求すべく、集団を誘導していくプロセスである※5 (ジョン.W.ガードナー)。

ガードナーの研究調査の主なる目的は、リーダーシップでありながら、彼の本当の関心は「集団目的をいかにして達成するか」である。つまり、この集団目的を達成するために、決定的な重要性を持つのがリーダーシップであるとしている。
ガードナーによれば、いかなる集団においても、その構成員である各個人はさまざまに異なった役割を果たしており、そのような役割のひとつが、リーダーのものなのである。リーダーは集団を規定すると同時に、集団によって規定されているという言葉に、彼のリーダーシップの本質論の骨幹を把捉できる。また、リーダーシップを発揮するプロセスは、強制とは区別されるものであり、また強制の度合いの少ないリーダーシップがよりすぐれたものである。


以上の3人の主張をまとめると、「リーダーは、集団目的を達成するために、対人関係のマネジメントを行うことにより、リーダーシップを発揮する」という共通した視点を見出すことができる。つまり、リーダーとフォロワーの相互作用は「対人関係のマネジメント」と呼称できる。
そして、リーダーとフォロワーとの間には、「相互信頼関係」が絶対条件であり、さまざまなリーダーの行動によるフォロアーとのインタラクティブな交流は、相互信頼関係を得るためのプロセスと理解することができる。
つまり、リーダーシップの発揮とは、組織目標を達成するために、さまざまなリーダーシップ行動をおこないながら、信頼関係を醸成させることであり、それこそが「対人関係のマネジメント」にほかならない。このことから、ここでいう対人関係のマネジメントが高度に醸成されている場合にリーダーシップの有効性が発揮されることになる。

 

※3ウォーレン・ベニス、バートナナス、小島直記訳 (1987)『リーダーシップの王道』新潮社p.74.

※4コッターは、上記の定義をさらに端的にまとめ「リーダーシップとは、変革を成し遂げる力量を指す。」とも表現している。 ジョンP.コッター、黒田由紀子監訳 (1999) 『リーダーシップ論』 ダイヤモンド社p.19.

※5ジョン・W・ガードナー (1989) On Leadership.Free Pr.加藤幹雄訳 (1993) 『リーダーシップの本質』 ダイヤモンド社p.3.

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