とかくリーダーシップというコンセプトは不明瞭である。研究者ごとに異なり、また定説的な定義も存在しないかもしれない。これは、扱う対象、つまりリーダーシップが人間そのものであり、すなわち人間そのもののもつ神秘性や不確実性がその原因として考えられる。

本章では、まずリーダーシップ理論が硬直したパラダイムになっていることを検証し、古典的視座から転換することの必要性を主張する。そのうえで、心理学者のダニエルゴールマン*1(D.Goleman)が主張している「感情コンピテンス理論」に立脚した新たなリーダーシップアプローチ、EQリーダーシップアプローチを提言する。そして、リーダーシップの発揮プロセスと、リーダーシップの源泉の存在を明らかにしていきたい。

*1ダニエル・ゴールマン他 土屋京子訳(2002)『EQリーダーシップ』日本経済新聞社